クレジットカード審査の仕組み、基礎知識、正しい利用方法について

竹下昌成さん

竹下 昌成

クレジットカード審査の仕組み

2億8394万枚、これは日本で発行されているクレジットカードの枚数です(2019年3月:日本クレジット協会)。成年に達している人口をもとに単純計算すると、成人一人当たり2.7枚のクレジットカードを保有していることになります。高齢者やクレカを持たない人もいると考えるとクレカ所有者の実際の保有枚数はもっと多くなります。

一方で、自分の信用情報に自信が持てずにクレジットカードを作れずにいる方や、クレジットカードの利用によって個人信用情報にキズがついてしまうことを懸念している方も多いのではないでしょうか。

クレジットカードの審査の仕組みや、信用力を低下させないための正しい使い方を知れば、もっと安心してクレジットカードを利用できるはずです。政府によりマイナンバーカードのポイント付与なども予定されている現在、改めて“クレジット=信用”について考えてみましょう。

※価格の表記に関して、特に指定があるもの以外は税抜き表記となっています。

クレジットカード審査の仕組み

クレジットカードの審査はどのようなタイミングで行われるのか、どのような基準で発行の可否や利用限度額が決まるのかなど、まずはクレジットカード審査の仕組みを解説します。

審査のタイミング

審査のことを「与信」とも言います。信用を与える、というクレジット会社から見た言い方です。審査が行われるタイミングはおもに以下の4パターンがあります。

(1)新規申し込み時

クレジットカードに入会申込をするタイミング。いわゆる「入口」部分のため、しっかりとした審査が行われます。クレジットカードの「審査」というと、このタイミングのことをイメージする方が多いと思います。

(2)クレジットカードの利用時

オーソリ(オーソリゼーション)」と呼ばれるもので、クレジットカードの利用時に、利用枠をオーバーしていないか、延滞情報がないかなど、利用者の与信情報を照会する簡易なチェックです。

(3)クレジットカードの更新時

クレジットカードの有効期限が切れて、新しいカードが発行されるとき。個人信用情報や利用履歴などを検討し、継続の可否判断や利用枠の見直しが行われます。

(4)途上与信(カード利用中の審査)

クレジットカード利用中も、個人信用情報などで異常がないかなどをモニタリングしています。良くない情報が入ってきたときに随時確認が行われます。

審査の内容

クレジットカードの発行の可否、ショッピングやキャッシングの利用枠などを次の4つの項目を基準に決めていきます。

(1)属性

申込人の総合的な状況・状態のことを「属性」と言います。
年収、勤務先、職種、勤続年数、家族構成、資産、資格など。大企業に勤続が長く、年収が高い人ほど「属性が高い人」という認識になります。「持ち家かどうか」も少額の信用を与える場合には大きく影響するポイントです。

(2)個人信用情報

クレジットカード審査における最重要項目です。申し込みを受けたカード会社は個人信用情報を集約している情報機関(CICなど)に照会します。

申込書の住所・氏名・電話番号・勤務先などと照合し、複数項目が一致すれば本人と判断され、その人の信用情報「クレジットファイル」が回答される仕組みです。

提供された信用情報を元に各カード会社がそれぞれの基準で審査を行いますが、以下に審査内容の例をご紹介しておきます。

  • クレジットファイルの記載事項
    いつ、どこで、いくら借りてるか、残額、きちんと返済してるか、が記載されています。申し込んだだけの情報も6ヶ月間は残ります。多くの人は数件の利用状況が出てきます。毎月きちんと約定日に返済していることが大事です。

    年齢相応にクレジットカードの利用歴がないということは怪しまれます。あまりにクレジットファイルがキレイだと破産リセットを疑われることもあります
  • 買い廻り
    同時に複数のクレジットカードに申し込みをしていることを「買い廻り」と言い、注意ポイントとなります。3枚以上同時に申し込んでいる場合は、「一気に使って破産するつもり?」と疑われることも。また、申込本人が利用するのではなく家族や他人に供与する「名義貸し」を疑われます。
  • 同姓同名
    稀に同姓同名で信用力の低い人と混同されてしまうケースもあります。その場合は住民票などを提出し身の潔白を証明することになります。

(3)自社情報

情報機関の個人信用情報の記載期限が経過しても、クレジットカード会社に蓄積されている延滞履歴、クレームやトラブルの履歴などが原因で審査に通らないこともあります。カード会社各社も民間企業です、顧客を選ぶのは当たり前、ということになります。

(4)支払可能見込額

消費者保護のため「過剰な貸し付けは避けましょう」ということになっており、その一環です。自然界でも末永く資源の利益を得られるよう漁獲量制限をするのと少し似ています。

<クレジットカードの支払可能見込額の計算式>

(年収-生活維持費-クレジット債務)x0.9=支払可能見込み額

生活維持費は持ち家の有無や家族構成によってざっくりと勝手に決められています。この範囲であれば審査可決するという一応のラインです。

以上のようなことを「総合的に判断」し、クレジットカードの発行の可否と利用限度枠を設定しています。通常、クレジットカードの審査は厳しいものではありませんので、審査に通らない場合は自分の信用度を上げていく方法を考えてみましょう。

クレジットカード利用による信用力低下を防ぐには? 正しい利用方法

ここでは、クレジットカードの利用によって個人信用情報にキズがついてしまうことを懸念している方のために、信用力を低下させないための正しい利用方法をご紹介します。

ルールを守る

まずは基本中の基本です。クレジットカードは借り入れです。借りたものを約束通りに返せない人は信用されません。毎月の引き落としが確実に行われるように預金口座の残高はしっかりと確認しておきましょう。

メインカードを決める

年会費無料で永く付き合えそうなお気に入りのカードを一枚設定しましょう。そして、公共料金や電話代などの支払いをできるだけこのメインカードに集約します。そうすることでお金の管理が楽になり、遅延なく支払い続けることで着実に良いクレジットヒストリーが積み上がります

マイルールを決める

「サブカードは2枚まで」、「カードを1枚増やしたら1枚解約する」、「新規作成する際は大きなキャンペーンの時のみ」など自分でルールを決めましょう。

利用明細は紙ベースで送付してもらうと有料の時代になりましたのでWeb明細で十分かと思います。その際、利用明細は毎月何日にプリントアウトする、というルールも作っておくと良いでしょう。保存も比較するために3年間など決めておきましょう。

基本は一括払い

クレジットカードは便利です。ついつい高額のものを購入したり、少額でも買い物の頻度が上がることも多いでしょう。そんな場合でも、支払い方法は「一括払い」にするクセをつけましょう

クレジットカードの利用枠と返せる金額は違います。借りれるからといって目一杯まで使うことは避けましょう。特に「リボ払い」で購入するものは本当に必要なものか熟考しましょう。どうしても欲しい場合は、きちんと返済管理をする覚悟で利用してください。

「残高ゼロ」と「解約」の違い

全く利用していない支払残高がゼロのクレジットカードを持ち続けることと、使わなくなったカードを解約することは、同じように見えて実は大きな違いがあります。

ここでは両者について、“クレジット=信用”の面でどのようなリスクがあるのかを解説します。

キャッシング枠とショッピング枠

クレジットカードの機能は2つあります。お金を借りる「キャッシング」とモノを買う「ショッピング」です。それぞれの枠が審査で設定されてきます。ショッピング枠100万円、キャッシング枠30万円、という感じです。

キャッシング枠のリスク

クレジットカードのキャッシング支払残高ゼロと利用枠自体がないことは違います。
キャッシング枠の設定があるだけで利用していなくても借り入れをしているとみなされるケースがあります。

例えば、住宅ローンを申し込む場合などです。家を買いたいけどたくさん借り入れをしているとみなされて住宅ローンに通らない、なんてことが起こります。

クレジットカード申込時にキャッシング枠は不要も選択できますので極力外しておきましょう。すでに付加されている場合もキャッシング枠だけ外せますのでカード会社に相談してみましょう。キャッシング枠があり、利用していないカードを持ち続けているなら解約をするのをおすすめします。

ショッピング枠のリスク

利用しているカードは約定日の振替を注意していればOKですが、全く利用していないカードの場合はそれすらも見落としがちです。初年度だけ年会費無料だから作ったもののそれ以降はほったらかしのカード、なんてものが残ってないか確認しておきましょう。

年会費ももったいないですし、使ってないカードは使ってない銀行口座からの引き落としにしているケースが多いです。そうなると年会費が振替不能を起こしたことにより信用力の低下につながります。きちんと管理しましょう。

まとめ

クレジットカードを何枚持っていようが使うのは自分1人です。普通にルールを守り続けること、審査のポイントを理解して、属性の良い顧客となれるよう行動することが大切です。

量より質でクレジットカードを選んで、自分の信用力を上げることを意識しましょう。信用は築くのは大変ですが失うときは一瞬です。いざというときに自分自身の信用情報にジャマされないよう、正しい知識を身につけて備えておきましょう

この記事を書いた人

竹下昌成さん

竹下 昌成ファイナンシャルプランナー

竹下FP事務所代表、株式会社メディエス代表取締役。 京都府福知山市出身。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績。現在は不動産賃貸業をメインに講師や執筆活動、相談業務を行っている。 日本FP協会会員(CFP)、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、スカラシップアドバイザー